家の間取りを考える際に、風水のことを多少なりとも意識した人は多いでしょう。
家や土地のみに限定した風水のことを家相といいます。方角や家の形、部屋の内容によって良し悪しを考えるものです。
今回は家相のうち、絶対に押さえておきたい基本的なポイントを紹介します。
◯風水を信じていない人でも家相は重要
家相は中国の風水の考え方をベースにはじまったもので、日本独自の考え方です。
風水や家相について、胡散臭いと思う人もバカバカしいと思う人もいるかもしれませんが、最低限の部分については抑えておくことをおすすめします。
家を建てたらそこで何十年と暮らすことになります。大小はあれ、良い出来事も悪い出来事もおこります。
もし家でなにか悪いことがあった時、その家の家相が悪かったら、どう思うでしょうか。自分では家相が原因だとは思わなくとも、家族や他の人が家のせいだと言うかもしれません。
せっかく建てた大事な家を悪いもののように扱われるのは、たとえ迷信だとしてもあまり気持ちのいいものではありません。
今家相を信じていなくても、数十年後に考え方が変わる可能性もあります。特に悪い出来事があったり、精神的に大きなダメージを負った後は、見えないものを信じたり縋りやすくなったりしやすいです。
しかし、家の間取りは簡単に変えられるものではありません。お金も手間もかかります。
こうした不都合がないように、希望の間取りを妨げない程度には家相を抑えておくのが無難です。
風水に限らず、建築業界・建設業界はこうした目に見えないものを大切にします。天候や事故は運によるところも大きいためです。事務所に神棚をおいているところも多いです。
特に信心深くなくても、「やらないのはなんとなく縁起が悪いから」とわざわざお金をかけて地鎮祭をやるのもその一つです。
◯家相の基本
・鬼門と裏鬼門
風水に詳しくない人でも、この2つについては聞いたことがあるという人が多いのではないでしょうか。
鬼門と裏鬼門は悪いものが入ってくると考えられている方角のことで、鬼門は北東、裏鬼門は南西です。
家相について考える時は、この鬼門と裏鬼門が最も重要なポイントになります。
・正中線と四隅線
鬼門と裏鬼門についで重要なのが正中線と四隅線(しぐうせん)です。
正中線は、家の中心を通る南北の線、四隅線は東西の線です。
◯間取りと家相
・玄関
玄関は鬼門・裏鬼門を避けて配置しましょう。
玄関は家相を考えるうえで最も重要な場所です。色々考えるのが面倒な人や、間取りの自由度が制限されるのが嫌だという人は、玄関だけ気をつければOKです。
家相では良いものも悪いものも玄関から入ると考えられています。玄関が鬼門・裏鬼門に面していると、そこから良くないものが入ってきてしまうとされています。
・トイレ・キッチン・玄関
トイレ・キッチン・玄関の3つを家相では三備と呼びます。そして、三備は三所(鬼門・裏鬼門・中心)を避けるべきだとされています。
トイレと玄関を家の真ん中に配置することはまずありませんが、コミュニケーションを重視した住宅にしようとリビングを中央付近に配置した結果、キッチンが中心に来てしまうケースはありえます。家相を意識するなら、キッチンの位置には気をつけましょう。
また、実用的な面から考えても、キッチンを家の中心部に配置するのはあまりおすすめしません。まず、ガスや水道の配管が長くなるため、工事費用が高くなります。また、万が一火災が発生した時に、キッチンが中央だと消化が難しくなるうえに、家じゅうに火が広がりやすくなります。
・トイレ・排水口・コンロ
家相では、トイレ・コンロ・シンク・風呂場の排水口・掃出し窓・勝手口は不浄なものと考えられています。これらは家の正中線・四隅線を避けるべきだとされています。
・家の形
上から見た家の形に欠けがあるのは良くないといわれています。
家の凹凸のうち欠け・飛び出しと考えられるのは、凹凸が辺の長さの1/3以下である時です。
道路などの関係でどうしても建物を欠けさせないといけない場合は、欠けの部分に植え込みなどを作って凹みをカバーしましょう。
反対に、良い方向への張り出しは縁起がよいと考えられています。
また、階段や吹き抜けも欠けに含まれます。
吹き抜けは開放感があり、おしゃれなリビングには欠かせませんが、家相を気にするならやめておきましょう。
階段については、2階建て以上の家では欠かすことはできません。家相が悪いからといって外階段にするのもおかしな話です。そこで、特に良くないとされる中心部を避けるように配置するようにしましょう。
リビングに階段を設置すると、コミュニケーションが取りやすく、防犯的なメリットもあるのですが、階段が中心部によりやすくなるため、間取りを考える際には注意してください。
◯間取りと家相
家相では、まず特に悪いとされる間取りを避けることが大切です。凶とされる間取りを避けるためには、鬼門・裏鬼門、正中線・四隅線を意識して間取りを考えましょう。
家相を考慮すると、間取りを考えるのは一層大変になります。しかし、一度家を建ててしまったら、間取りを変更するのは困難です。
たとえ、今は家相を信じていなくても十年、何十年と暮らすうちに考え方が変わってくるかもしれません。また、なにか悪いことが起きた時に家相のせいにしたいためにも、最低限のポイントは抑えた家づくりを心がけましょう。