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注文住宅の悩み

ローコスト住宅は本当に安い?

マイホームに憧れを抱いている人は多いですが、いざ実際に家を建てようと思うとなかなか一歩が踏み出せません。

たくさんお金がかかるのはもちろんですが、高いお金を払う以上失敗はできません。

考えることや決めることが多すぎて、面倒になってしまってやめてしまったという人もいます。

そんな中で急速に成長しているのが「ローコスト住宅」です。

ローコスト住宅は、1000万円台で家が建てられる、年収300万円台でも一軒家の主になれるなどの宣伝文句で注目を浴び、近年その数を急激に増やしています。

本当に広告どおりに家が建てられるのだとしたら、頭金も毎月の住宅ローンの返済も少なくて済みます。

今まで一戸建てを買うのは無理だと諦めていた人でも、マイホーム購入に踏み切ることができるようになります。

しかし、実際に1000万円台で家を建てることは可能なのでしょうか?そして、完成した家は安全なのでしょうか?

この記事では、ローコスト住宅の安さの理由と魅力、ローコスト住宅を選ぶ際の注意点について解説します。

◯ローコスト住宅の価格


一般的にローコスト住宅と呼ばれているのは、建物価格1000万円台の住宅です。

家の広さは35坪程度が多く、大家族で住むには手狭ですが、夫婦に子ども2人までなら十分な広さです。

坪単価に換算すると20万円台後半から50万円ほどになります。

家の価格は大きさやグレード立地によって大きく変わるため一概にはいえませんが、ローコスト系ではないハウスメーカーの場合、住宅価格はおよそ2500万円から3000万円ほどというのが一つの目安です。

広さもローコスト住宅に比べると余裕があることが多く、35坪から40坪が平均です。

坪単価に換算すると60万円から90万円ほどになり、ローコスト住宅の倍近くの費用がかかります。

●ローコスト住宅の坪単価比較

一口にローコスト系ハウスメーカーといってもその内容は様々です。

価格の安さを追求している会社もあれば、価格と質の両立を目指している場合もあります。

参考までに、主要なローコスト系ハウスメーカーの坪単価を見てみましょう。

アイフルホーム:坪単価25万円~55万円
アエラホーム:坪単価20万円~50万円
アキュラホーム:坪単価35万円~50万円
クレバリーホーム:坪単価30万円~50万円
セルコホーム:坪単価30万円~60万円
タマホーム:坪単価25万円~60万円
ヤマト住建:坪単価40万円~60万円
ユニバーサルホーム:坪単価40万円~50万円
レオハウス:坪単価25万円~55万円
富士住建:坪単価40万円~60万円

一つのハウスメーカーの中にも複数のプランがあり、高機能なものや選択肢の幅が広いものほど高価なプランになります。

また、変更やオプションの追加を行えば行うほど費用がかかります。

◯ローコスト住宅はなぜ安い?

普通のハウスメーカーの住宅とローコスト住宅、家を建てるという点では同じにもかかわらず、どうしてこんなに価格差があるのでしょうか。

安いのはありがたいことですが、もし無理なコストカットが手抜きや欠陥につながっていたのだとしたら意味がありません。

確かにローコスト住宅が登場した当初は、質の悪い材料を使い、突貫工事で仕上げた住宅も少なくありませんでした。

しかしローコスト住宅を取り扱う業者が増えるにつれ、ローコスト住宅の中でも競争が起こるようになりました。

ただ安いだけでなく、安くて質の良い家をつくるハウスメーカーしか生き残れないのです。

では、一体どのようにして安さと質の両立を可能にしているのでしょうか?

ハウスメーカーが行っているローコストを実現している工夫について紹介していきます。

●素材のコストカット

建材や内外装材、建具、設備など家づくりにはたくさんの材料が必要になります。

たくさんの種類の素材を揃えればお金がかかりますが、仕入れる種類を絞れば一度に大量入荷しやすくなり、コストカットになります。

ローコスト住宅とそうでない住宅を比べてみるとわかりますが、ローコスト住宅は内装や外装の選択肢の幅がとても狭いです。

他のハウスメーカーなら10種類の素材から選べるものが、ローコスト住宅では2種類しかなかったり、選択権そのものがなかったりします。

設備の種類やグレードも限られており、他のものに変更するには追加料金が必要になります。

また、仕入れルートにも工夫をしているローコスト住宅が多いです。

仲介業者を減らせるように変更したり、大量入荷しやすいよう他の会社と協力して仕入れを行っていたりしている場合もあります。

●シンプルな設計

家の価格には間取りや家の形も影響します。

工事の手間や表面積の関係上、複雑な形状の家や凹凸の多い建物は建築費用がかかります。

ローコスト住宅では家の形がシンプルになるよう制限をつけることでコストカットを図っています。

間取りの工夫としては、家の中を細かく区切らず、部屋数をあまり多くしないようにしています。部屋が増えれば照明やコンセントの数が増えるため費用がかさみます。

水回りのレイアウトも重要です。お風呂や洗面所、キッチンなどを家の一方向に固めることで配管が短くなるように工夫しています。

●広告費を抑える

広告宣伝には多額の費用がかかります。

大手ハウスメーカーでは、テレビCMやモデルハウスの運営に数億円ものお金をかけています。

しかし、高い知名度を得るかわりに住宅価格にその費用がのせられています。

ローコスト住宅でモデルハウスを使っているところはそう多くありません。

一部をのぞき、テレビCMもほとんどありません。

◯ローコスト住宅のメリット

●安い

やはりローコスト住宅を選ぶ最大のメリットは価格です。

家の値段が安ければ、頭金も住宅ローンも少なくなります。

毎月の返済負担が少なければ、それだけやりくりに余裕ができます。

家の値段が安いことは、その後の生活の質を向上することにもつながるのです。

●必要なものだけ手に入る

注文住宅の特徴は自分好みにカスタマイズできること。

しかしこだわる部分もあれば、こだわらなくてもいいと感じている部分もあるはずです。

最新設備が標準でついていても、それが不要な人にとっては無駄なお金を払っているのと同じです。

壁紙なんて普通の白いもので十分と思っている人にとって、他のバリエーションを用意するのにかかっているコストは無駄です。

ローコスト住宅は価格を下げているかわりに、無駄な部分をカットしています。

自分が住宅に求めているものだけが揃っているハウスメーカーを選べば、不要なコストを極限までカットできるようになります。

自分の欲しいものは自分で選びたい、取捨選択をしたいと考えている人には、ローコスト住宅はベストな選択肢です。

ローコスト住宅は選択肢が少なくて不便だという人もいますが、多くの人にとってはごく普通の規格住宅のような家の方が住みやすいともいわれています。

確かにその家族専用に完璧につくられた家ほど住みよいものはないかもしれませんが、自分ピッタリの住宅を建てるのは想像以上に難しいです。

ハウスメーカーの技量の問題もありますが、一番の問題は住む人自信もどんな家を求めているか把握しきれていないことでしょう。

現在の生活ならまだしも、10年後、20年後にも住みやすい家の形を想像するのは難しいです。

下手に凝った家を建てるよりは、無難な家の方が後々の修正もしやすいです。

◯ローコスト住宅を建てるときのポイント

ローコスト住宅は低価格がウリです。

しかし、失敗しないように購入するのは、非ローコスト住宅よりも難しいです。

●住宅価格に注意

まず、広告や宣伝にのっている価格は、家を買うのに必要な金額すべてではありません。

広告に書かれている驚くほど安い住宅価格や坪単価は「建物価格(本体価格)」であることがほとんどです。

実際に住めるような住宅にするためには、建物の他に外構工事や電気や水道の工事が必要になります。

住宅ローンを組む際の手数料や各種税金などのお金がかかります。

一般的に、住宅取得にかかる総費用のうち、建物価格が占めるのは7割から8割といわれています。

更に、家を建てるための土地がなければ、土地のためのお金も必要になります。新居に移る際には引っ越し費用もかかります。

家を買って移り住むとなると、思っている以上にお金がかかります。予算配分を考える際は、どこにどれだけのお金がかかるのかをきちんと把握しなければなりません。

●オプション料金に注意

ローコスト住宅の安さはシンプルな内容と選択肢の狭さです。

無駄のないシンプルな住宅は魅力的ですが、人によっては物足りなさを感じるかもしれません。

標準以外の設備や建具を取り付けたり、変更を加えたりすればそれだけ高くなります。

あまりあちこち手を加えていると、せっかくのローコスト住宅にもかかわらず高くついてしまうことになります。

ローコスト住宅を選ぶ際には、なにが標準仕様に含まれているかを確実にチェックしましょう。

また、中には標準仕様に含まれている設備のグレードを極限まで下げ、価格を安く見せかけているハウスメーカーもあります。

オプション料金を払ってグレードを上げなければ使い物にならず、実際の価格はあまり安くありません。このような見せかけのトリックにだまされない注意力も必要です。

●購入後の問題

住宅は建てて終わりではありません。完成した家にはその後何十年と済み続けることになります。当然、建ててすぐのことだけでなく、将来のことも視野に入れなければなりません。

しかし、ローコスト住宅には他の住宅に比べて購入後の問題を抱えやすいという問題があります。

ローコスト住宅が抱える購入後の問題は2つあります。

一つは価格を下げるあまり、メンテナンスコストが増してしまうケースがあることです。

安価な材料は耐久性が低く、劣化スピードがそうでないものに比べて早いです。

安く建てたは良いものの、短期間で交換やメンテナンスが必要になってしまうと、総合的に見るとローコストではなくなります。

もう一つの問題は、アフターケアが手薄になりやすいこと。

住宅を長く維持するためには定期的な点検と修繕がかかせません。そのためには数十年先を見据えた計画づくりが必要になります。

長期保証を売りにする大手ハウスメーカーの場合、メンテナンス計画がすでに準備されており、購入者はその案内に従っていれば必要な時期に適切な点検・修繕が行えます。

しかしローコスト住宅は完成したら終わりで、点検や修繕を重視していない会社も少なくありません。

そもそも、数十年後に会社が存続しているかどうかもわかりません。

●住宅の品質

ローコスト住宅を非難される理由の一つに、他のハウスメーカーの住宅と比べると品質や機能・耐久性が劣る、というものがあります。

やはり、コストカットのために品質をギリギリまで落としている業者は少なくありませんし、中には欠陥一歩手前の超低品質な材料を使っている業者もあります。

腕のいい職人がいるところもあれば、お世辞にも上手とはいえない腕の人間が関わっている場合もあります。

ただ、法律的に問題があるほどひどかったり、日常生活に支障があったりするものでない限り、超高品質・高耐久を謳うようなハウスメーカーの住宅とローコスト住宅を比較するのはナンセンスでしょう。

中には品質の良さや、丈夫さを売りにしているローコスト住宅もありますから、できるだけ高い質や丈夫さを求めるならば、そうした住宅を扱っているハウスメーカーを選択すれば良いでしょう。

ただ、質や耐久性を重視しているぶん、他のローコスト住宅よりも多少高かったり、内装や設備の選択肢がより少なかったりする可能性は高いです。

低価格である以上、すべての面で優れた住宅というのは難しいです。

重視するポイント以外は割り切りが必要です。

●できる部分は自分で行うのもアリ

住宅のローコスト化を目指すために、自分の力で行えるものは自力でやるというのも一つの手段です。

建物は建築会社に頼むしかありませんが、庭や門などの外構部分はDIYも可能です。

庭木や芝は自分でも植えられますし、タイルを敷いてアプローチを自分でつくるのも良いでしょう。

日曜大工に自信のある人なら、ウッドデッキにチャレンジするのも面白いです。

時間と手間はかかりますが、それだけ思い入れのあるものになります。

◯ローコスト住宅で夢のマイホームを!

住宅というと高価でなかなか手の出ないものと考えている人も多いですが、ローコスト住宅ならばローンの返済を抑えつつマイホームを入手できます。

ローコスト住宅で失敗しないためには、安さの理由やその建築会社でできることをしっかり把握することです。

信用できる会社に依頼し、コストがかかりすぎないように注意しながら家を建てれば、快適ななおかつ安価に住宅を手に入れられます。

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