◯ZEH(ゼッチ)とは?
ZEHはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、年間のエネルギー消費の収支がゼロになることを目指した住宅のことです。
住宅の省エネ化が求められる背景には、日本のエネルギー消費が石油危機以降倍になったことや、東日本大震災以降の電力状況、石油価格の不安定化などがあります。
国内のエネルギー消費を削減するためには、家庭でも省エネをすすめなければなりません。
ZEHでは住宅の断熱性・気密性の向上に加え、エネルギー効率のよい設備や、太陽光発電システムなどを取り入れ、環境に優しく、住心地の良い住環境を目指します。
経済産業省がZEHの普及を積極的に後押ししており、認定基準を満たした住宅には補助金が支給されます。
これから家を建てよう、購入しようと考えている人ならば、ZEH関連事業については必ず知っておきたいです。
ZEHの住宅は環境に優しいだけでなく、住まいとしても快適です。
ただし、基準を満たした住宅にするには初期投資が必要になるため、少しでも導入しやすいよう政府が補助金制度を設けています。
補助金を受け取るには、ZEHのための条件を満たし、定められた方法で申請することが必要です。
◯ZEHの補助金を受け取れる期間について
2018年度もZEH支援事業を継続することは決まっていますが、まだ具体的な申請時期や期限などは決まっていません。
ZEHの支援事業については平成30年度、平成31年度の実施が決まっています。
また、低炭素住宅と蓄電池に関する支援については平成34年度までの実施が予定されています
◯ZEHの補助額はどのぐらい?
ZEHの条件を満たした住宅には70万円、さらに蓄電池を設置した場合は30万円を上限として3万円/kwhの補助金が受け取れます。
更により高いZEH+仕様の住宅の場合は金額がアップし、補助金は115万円、蓄電池補助金額は45万円を上限とした3万円/kwhとなります。
また、ZEHまたはZEH+仕様の住宅で、壁や床・屋根に低炭素化素材を利用したり、地中熱や太陽熱利用の技術を活用したりした場合、別に90万円の補助金があります。
補助金額は数十万円から百万円以上とかなりの金額になります。
省エネ仕様の住宅は気になるけれど、予算の都合で尻込みしていた人にとっては、大きな後押しになります。
◯ZEHの補助金を受け取るまでの流れ
●ZEH認定ビルダーを探す
ZEHで補助金を受け取るためには、ZEH認定ビルダーに依頼する必要があります。
ZEH関連事業では一般社団法人環境共創イニシアチブ(略称「SII」)が定めた基準を満たす、認定ビルダー・プランナー(ハウスメーカー・工務店・設計事務所など)が事前枠を受け取り、その枠内で建築を受け付けます。
申請も認定ビルダーが行うため、自分の好きな業者にZEH住宅を建ててもらったり、家を建ててから自分で補助金を申請したりすることはできません。
認定ビルダーの探し方にはいくつかの方法があります。
まず、SIIが公開している認定ビルダー一覧から探す方法です。
SIIのサイトでは都道府県ごとに登録されたビルダーを検索できます。とりあえず近隣にどのぐらいの数の認定ビルダーがあるかをざっと把握するのには便利です。
もし気になっているハウスメーカーや工務店があるなら、それらのウェブサイトをチェックするのも一つの手段です。
ZEH認定ビルダーになるためには、ZEH普及目標をウェブサイトなどに記載する必要があります。また、ZEH認定ビルダーであることはハウスメーカーや工務店にとってもセールスポイントの一つであるため、積極的に取り組んでいる会社なら目立つように書いているはずです。
また、ZEH認定ビルダーになれば認定マークを使用することができるようになるため、それを目印に探すのも良いでしょう。
特に気になるハウスメーカーはない、どんな工務店が近くにあるか全くわからないという場合は、住宅の一括資料請求サービスを利用するのがおすすめです。
ハウスメーカー・工務店選びでは、いろいろな会社を比較することが大切です。
しかし、資料集めや比較だけで非常に時間がかかるため、家を建て始める前に疲れ切ってしまったという人も少なくありません。
一括資料請求サービスでは、予算や地域などの条件を入力するだけで、登録された中からピッタリの会社をピックアップしてくれます。もちろん、ZEH認定ビルダーも探すことができます。
こうしたサービスを利用すれば、情報収集に必要となる時間をぐっと縮め、打ち合わせなどにかけられる時間を増やすことができるようになります。
●依頼先の決定
いくつか気になるハウスメーカー・工務店が見つかったら、相談に行き、プランや見積もりを作成してもらいましょう。
このとき重要なのは、一つではなく複数の会社に見積もりやプランを作成してもらうことです。
建築を依頼するハウスメーカー・工務店を決める際は「比較」がかかせません。
得意分野や苦手分野は各社それぞれで、同じ要望や条件を伝えても、各社でできあがるものは全く異なります。
予算を考えるうえでも比較はかかせません。注文住宅はオーダーメイドの一点物。
どんな建物を立てるかというだけでなく、どんな土地に建てるかということも価格に大きく影響するため、一つとして同じ家はありません。
他人の建てた家の価格は当てにならず、自分のこれから建てる家の相場は見積もりをとってみなければわかりません。
比較がしやすいように、要望や条件は同じものを伝えられるよう、相談に行く前にまとめておくようにしましょう。
数日から1週間程度で見積もりやプランが受け取れます。
●申請と建築
依頼する会社が決まったら、打ち合わせを経て、いよいよ家を建てる段階に入ります。
補助金の申請はビルダーが代行するのが一般的です。施主がすることは特にありません。
ただ、今年度から初めて認定されたビルダーに依頼する場合は、手続きに問題がない確認するとともに、万が一ミスで補助金が貰えなかった時の責任について契約書等であらかじめ明確にしておくと安心です。
●補助金の受け取り
ZEHの補助金の交付には住宅の完成後半年ほどかかる場合があります。基本的にすぐ受け取れるというものではありません。
家を建てて転居するとなると、引っ越し代や家電家具の購入など、出費の多いもの。ZEHの補助金をこれらの足しにしようと考えている場合は注意が必要です。
◯補助金は申請すれば確実に貰える?
もし、補助金の申請が殺到し件数いっぱいとなってしまったら、補助金が受け取れなくなってしまいます。
しかし、ZEHの採択方式は事前にビルダー(ハウスメーカー、工務店など)に事前に枠を付与する方式です。ビルダーに枠に余裕があるか聞いておけば、補助件数に怯える必要はありません。
全体で見ても、これまでのところ補助件数に対する申請件数にはかなり余裕があり、申請多数による漏れが発生する可能性はほぼありません。
平成28年度の公募結果によると、第一次公募の補助件数は2300件程度でしたが、実際の申請件数は1103件。
その後の二次公募、三次公募と続きましたが、どの公募でも枠に余裕が残されていました。
ZEHへの補助金は魅力的ですが、残念ながらまだまだ知名度が低く、また省エネ住宅に必要な初期投資の多さから、敬遠されているというのが実情です。
枠に余裕があったにもかかわらず、審査に通らず補助金が貰えないということも、ほとんど起こりません。平成28年度の公募結果によると、申請件数と採択件数の差は1%程度です。
採択がされなかった原因は公開されていませんが、申請後に事情があって建築を中止した人などが含まれていることを考慮すると、よほどのミスをおかさない限り、審査に通過できないということはないでしょう。
◯ZEHの補助金はいずれなくなる
ZEHの補助金は省エネ住宅に興味がある人だけでなく、これから家を建てようと考えている人ならばぜひ注目しておきたい事業です。
というのも、政府の方針では2020年までに新築住宅はZEH仕様が義務化されることになっています。ZEHが当たり前になってしまえば、当然今のような補助金もなくなるでしょう。
同じZEH仕様の住宅をつくるのであれば、補助金のある家に建ててしまったほうがお得なのは言うまでもありません。
家づくりには思いのほか時間と手間がかかります。一括資料請求サービスなどを使えばある程度効率化することはできますが、それでも一朝一夕で建つものではありません。
せっかくの補助金を無駄にしないためにも、早い段階から動き始めることをおすすめします。