注文住宅の購入を考え始めた人にとって何よりも気になるのが「どのぐらいのお金がかかるのか」ということです。家を建てるのには一体どのぐらいお金が必要で、相場はどの程度なのでしょうか。
◯注文住宅の相場
結論から言ってしまえば、注文住宅に「相場」はありません。
建て売り住宅には相場がありますが、注文住宅は一から作るオーダーメイドの商品です。人によって価格もの内容も様々で、明確な相場を求めることは不可能です。
同じ3LDKの住宅でも、構法によって値段は全く違います。同じハウスメーカーの似たように見える家でも、内装や間取り、設備は違います。
特に設備は単価が高く、導入の有無やグレードによってかなりの差が生じます。太陽光発電や床暖房を導入した場合、設備だけで数百万円の差が生じます。
◯工法ごとの坪単価の目安
家の価格は家の大きさや構法、設備などによって変化します。そのため住宅メーカーの広告では、一坪当たりいくらかかるかという形で価格を表示することが多いです。
坪単価は構法によっても違いがあります。構法ごとの坪単価の目安は以下の通りです。
木造(在来構法):坪55万円~
2×4:坪50万円~
SE構法:坪60万円~
鉄骨造:坪70万円~
鉄筋コンクリート造:坪90万円~
◯坪単価は価格の参考になるのか
広さや間取りがまちまちな注文住宅において、面積あたりの価格がわかる坪単価は便利な存在に見えます。
しかし、坪単価を総費用の目安にするのは危険です。
坪単価に含まれるのは建物の費用だけで、水道や電気の工事は含まれていません。塀や門などの外構工事も対象外です。他にも住宅を建てるのに必要な申請・調査費や保険料などは含まれていません。こうした諸費用は建物価格の10%ほどが目安とされています。
また、坪単価の価格は標準仕様をベースに考えられています。内装を変えたり、設備をグレードアップしたりすれば価格は上がります。
坪単価は最低限必要な金額の目安にはなっても、全部でいくらかかるのかを考えるのには向かないのです。
◯安すぎる坪単価には注意
格安のハウスメーカーの中には、驚くほど安い坪単価を宣伝しているところもあります。
先に述べたように坪単価は最低価格の目安にしかならないのですが、他と比べてあまりにも安い坪単価を掲げている場合はさらに注意が必要です。
格安の住宅メーカーの中には、宣伝に使用する坪単価を下げるために、標準仕様の質を極限まで下げている会社があります。安さに惹かれて契約したのは良いものの、標準仕様では間取りの自由度が極端に低かったり、建材や設備のグレードが不十分でグレードアップせざるを得なかったりなどのトラブルもあります。
坪単価は他のメーカーと値段を比べやすいため、このように悪質な宣伝を行っている業者もなかにはあります。だまされないためには、坪単価ではなくトータルの価格で決めることが大切です。