一戸建てを新築する場合、二階建ての住宅を建てるのが少し前までは主流でした。
しかし近年、平屋建てを建てたいというケースが増えています。
階段の上り下りのない住宅は快適で、家族の居場所が同じフロアになるため、コミュニケーションも取りやすいです。
お年寄りのいる家庭だけでなく、小さな子どものいる家庭にも平屋は人気です。
しかしいざ建てるとなると、重要になるのはお金の問題です。
平屋と二階建て、どちらの方がお得に建てられるのでしょうか。
二階がないぶん、平屋の方が安そうに思えますが、注文住宅では平屋の方が高くつくというウワサもあります。
実際、平屋と二階建て、安く建てられるのはどちらなのでしょうか?
◯二階建ての方が高そうなイメージはあるが……
平屋よりも二階建ての方が高そうと思っている人は多いです。
建物の高さがあるため、平屋よりも一階部分や基礎は丈夫でなければなりません。
また、家が大きくなるため材料もたくさん必要になりそうです。
しかし一方で、同じ広さの家を建てるなら、平屋の方が広い土地を必要とするのは素人目にもあきらかです。
土地の費用がかさむことから、平屋の家は高いと考える人もいます。
◯平屋は割高になりやすい
一般的に、注文住宅を建てる場合、平屋の方が高くなりやすいとされています。
主な理由は次の三つです。
- 広い敷地が必要
- 材料費が多くかかる
- 平屋の住宅は少数派
●広い敷地が必要
同じ床面積なら、二階建てにして上下に積み重ねた方が土地を節約できるのは当然です。
同じ広さの家を建てるために土地を買うなら、二階建てにした方が土地代を節約できます。
しかも、平屋は二階建てよりも土地の余裕が必要になります。
建物が低いため、周囲の家などで日光が遮られたり、風通しが悪くなったりします。
快適な生活のためには、二階建ての場合よりも庭などを広く取らなければなりません。
●材料費が多くかかる
平屋はすべての部屋が地上階となるため、基礎の面積も広くなります。
基礎は住宅においてもっとも重要な部分で、家を安定させたり地震へ備えたりできるように丈夫に作らなければなりません。
しかし、丈夫に作れば当然お金がかかります。
また、屋根の面積も広くなります。
屋根は紫外線や雨風にさらされるため、防水処理をしっかりしなければならないだけでなく、何十年かごとにメンテナンスが必要となります。
平屋の広い屋根は材料費とメンテナンスコストが単純に二階建ての倍近くなります。
●平屋の住宅は少数派
住宅価格を下げる方法にはいくつかありますが、大手ハウスメーカーなどでよく用いられるのは、材料の大量入荷によるコストカットです。
しかし平屋は二階建てに比べると着工件数は少なめです。
大量入荷による恩恵は受けにくいです。
◯平屋の方が安くなる点もある
割高になりやすいと言われる平屋ですが、二階建てよりも安くできる部分もあります。
まず、階段が必要なく、廊下などのスペースも減らしやすいです。
二階建ての場合、4~5畳が階段とそれに付随する廊下として必要になります。
平屋の場合、こうしたスペースを削減したり、部屋にしたりして活用できます。
設備を減らしやすいのも平屋のメリットです。
二階建ての場合、利便性のためにトイレを両方の階に設置することも多いのですが、設備を増やすとそれだけお金がかかります。
掃除やメンテナンスがしやすいのも特徴です。
普段のお手入れはもちろん、外壁や屋根の清掃でも、高い足場を必要としません。
二階建ての場合、外壁の清掃には専用の道具を容易するか、専門家への依頼が必要になります。
しかし平屋であれば、普通の清掃用具でも自力で掃除できます。
屋根の吹き替えや外壁の塗り替えの際にも足場費用を節約できるため、メンテナンスの負担は軽いです。
◯平屋と二階建て、結局どっちが安いの?
例えば全く同じ条件で二階建てと平屋を建てるとしましょう。
平屋で30坪1500万円の場合、坪単価は50万円です。
全く同じ居室の広さと内容の住宅でも、二階建ての場合はこれに追加で2坪は必要になりますから、坪単価50万円で32坪、合計で1600万円ということになります。
単純に考えれば、やはり二階建ての方が高くなることになります。
しかし実際は、二階建てと平屋を全く同じ条件で比較するのは困難です。
実際の例を比べようにも、材料費や工事費の差はもちろん、基本的に平屋の家は狭い床面積の住宅が多く、二階建ての住宅は家族向けに広く建てられることが多いためです。
平屋を建てるためには広い土地が必要で、場所によってはお金を積んでも十分な広さがある土地をみつけることが難しく、広さのある家を建てるには二階建てにするしかありません。
坪単価で単位を揃えれば比較できると思うかもしれませんが、設備の数や工事の手間の関係で、全く同じ内容の住宅でも広い家の方が坪単価は低くなります。
小さな家の多い平屋が高く見えやすい理由の一つでもあります。
結局の所、平屋と二階建てどちらが安くなるかは、ケース・バイ・ケースです。
土地の購入が必要かどうか、どれぐらいの広さの家で、どんな内容の家にしたいかで、結果は全く異なります。
自分が建てたい家の場合、どちらが安くなるか知るためには、建築家や住宅会社に相談し、プランや見積もりを作ってもらう必要があります。
また、平屋建てと二階建ての違いは価格だけではありません。
それぞれにメリット・デメリットがあります。
どちらがいいか迷う場合は、一度プロの意見を聞いてみることをおすすめします。