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注文住宅の悩み

24時間換気システムは絶対に必要?

◯24時間換気システムとは?

24時間、常に家の中に外の空気を取り込み、室内の空気を新鮮に保つためのシステムです。大手ハウスメーカーをはじめ、多くの住宅会社で採用されている人気の設備の一つです。

24時間換気システムは住環境を快適に整え、健康な生活を送るのに役立つ設備の一つとして紹介されることが多いです。

これから住宅を買おうという人にも人気があり、24時間換気システムの有無をハウスメーカー選びの鍵にしている人も少なくありません。

◯24時間換気が必要になる理由

常に新鮮な空気が入ってくるというのはそれだけで気持ちが良さそうですが、それだけのために一日中換気扇を回す必要があるのでしょうか。窓を開けて換気するのと何が違うのでしょうか。

24時間換気システムが必要となるのには大きく分けて2つの理由があります。

まず一つは、住宅の気密性が向上したことです。

昔の日本の家は木造が主で、隙間がたくさんありました。冷暖房の効率は低く、防音性にもかけていましたが、隙間のおかげで自動的に換気が行われていました。

しかし、最近の住宅は木造であっても高い気密性を持てるようになりました。この背景には、技術の向上や新素材の開発もありますが、最も大きいのは省エネ意識の高まりでしょう。

気密性が上がることによって、自然に優しく経済的にも嬉しい省エネ住宅を手にいれることに成功しました。ただしそのかわりに、従来の木造住宅で勝手に行われていた換気を失ってしまいました。

そのため、高気密住宅では空気がこもることを防ぐために積極的に換気を行う必要があるのです。

そして、24時間換気システムが必要なもう一つの理由が、シックハウス症候群の存在です。

シックハウス症候群は、建材などに含まれた有害な化学物質により人体に悪影響がでるものです。

建材からでる有害な化学物質は、住宅の気密性が低いうちは自然に化学物質が屋外にでていたため、あまり影響はでませんでした。しかし、住宅の高気密化によって有害な化学物質が屋外に排出されなくなり、そのまま部屋の中に残るようになってしまったのです。

シックハウス症候群の原因物質として代表的なのがホルムアルデヒドです。ホルムアルデヒドはアレルギーや喘息、めまいや肌荒れなどの原因になります。

現在では法律の整備や建材メーカーの対策により、シックハウス症候群の原因物質の濃度は抑えられており、昔ほど人体に影響がでないように改善されています。

しかし完全にゼロになったわけではなく、高気密住宅では換気によるシックハウス症候群への対策が必要です。知らないうちに体調が悪くなるほどの影響はなくとも、塗料や接着剤などの匂いを不快に感じる場合もあります。

 

◯高気密住宅には24時間換気システムが必須

高気密住宅には隙間がなく、渋滞の木造住宅に比べて空気や匂いがこもりやすいです。また匂いだけでなくシックハウス症候群の原因となる有害な化学物質も残ってしまうため、24時間換気システムによる換気が必要です。

高気密住宅には省エネや防音性などのメリットがありますが、一方で換気不足に因るデメリットも存在します。そうしたデメリットを抑えるための設備が24時間換気システムなのです。

つまり、24時間換気システムそのものが優れた設備なのではありません。あくまでも高気密住宅に必要な付属の設備です。24時間換気システムがあれば良い住宅になるというものではありません。高気密という機能が合わさって意味のある設備です。

高気密住宅をハウスメーカー・工務店選びの決め手にするのは間違いではありませんが、デメリットを軽減るためだけの付属設備を決め手にするのは誤りです。

 

◯24時間換気システムの必要がない住宅

24時間換気システムは高気密住宅でシックハウス症候群のおそれがある時のための設備であるため、この条件を満たさない住宅では必要性が薄いです。

例えば在来工法の木造住宅の場合、気密性は高くないため、ある程度の化学物質は自然に換気されて家の中にこもりにくいです。よって、24時間換気システムの必要性は低いです。

また、気密性が高い住宅であっても、無垢材などを活用した有害な化学物質の発生を最小限に抑えた住宅であれば、24時間換気の必要は少なくなります。

気密性があまり高くない木造住宅で、無垢材を使っている住宅であれば、24時間換気システムの必要はほとんどないといっても良いでしょう。

 

◯設備を基準にした家づくりはNG

24時間換気システムに限らず、この機能を絶対に使用したい、あの設備があるメーカーがいい、と設備を基準に家づくりを進める人がいますが、あまり良いやり方ではありません。

機能や設備ばかり見ていると視野が狭くなり、本当に良いものを見つけられなくなってしまいます。

どうしても欲しい機能、採用したい設備があるのなら、それらを扱っているメーカーや工務店だけでなく、扱っていないところの話も聞きにいってみましょう。

そこには、あえてその機能や設備を使わない理由があります。その理由によっては、何か新しい知見が得られるかもしれません。

24時間換気システムを例に上げるならば、常に空気が入れ替わることそのものを求めている人はほとんどいません。換気が必要だと考えているのは、健康で安全な生活をしたいと考えているからです。健康で安全な生活のためというのならば、24時間換気システム以外にもアプローチはいくらでもあります。

 

◯家づくりで大切なこと

設備や機能を住宅のウリにしている会社は非常に多く、実際それを基準に依頼先を決めている人は多いです。

しかし実際に重要なポイントは、設備や機能そのものではなく、それらがもたらす結果の方にあります。

空気のきれいな住宅にしたいのか、省エネ性が高い住宅にしたいのか、それとも自然に優しい住宅にしたいのかで、目指すべき住宅の完成形は全く異なります。

何のために家を建てるのかをはっきりさせなければ、いい家は建てられません。

そのために必要なのは、いろいろな人の話を聞き、たくさんの実物を見学しにいくことです。住宅に関する知識を仕入れていくうちに、住宅に何を求めているかははっきりとわかるようになります。

住宅づくりにおいては知らなければならないことも多く、勉強するのも大変です。しかし、視野を広く持ち積極的に学びにいかなくては、失敗せずに良い住宅を建てることはできません。

注文住宅は一生に一度の大きな買い物です。公開することのないように、全力で挑みましょう。

 

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